初盆のお返しには、避けるべきタブーの品物や地域ごとの慣習、正しいマナーが存在します。本記事では、生ものや高額な品物など不適切とされる贈り物をはじめ、お返しをするタイミング、人気のお菓子の種類、商品券の扱い方、のしの書き方や挨拶状の必要性までを詳しく解説します。
関東・関西・九州など地域ごとの違いにも触れ、誰にでもわかりやすくまとめました。迷いや不安を解消し、故人への敬意と感謝の気持ちをしっかり届ける準備をしたい方に最適な内容です。
初盆のお返しでタブーな品物
初盆のお返しには、避けるべきタブーの品物や地域ごとの慣習、正しいマナーが存在します。本記事では、生ものや高額な品物など不適切とされる贈り物をはじめ、お返しをするタイミング、人気のお菓子の種類、商品券の扱い方、のしの書き方や挨拶状の必要性までを詳しく解説します。
関東・関西・九州など地域ごとの違いにも触れ、誰にでもわかりやすくまとめました。迷いや不安を解消し、故人への敬意と感謝の気持ちをしっかり届ける準備をしたい方に最適な内容です。
初盆のお返しのタブーは?
初盆のお返しにおいてタブーとされる品物を理解することは非常に重要です。故人への敬意と参列者への感謝を適切に表現するためにも、避けるべき品物について詳しく解説します。
まず、宗教的な理由から生肉や生魚は避けるべきとされています。仏教の教えでは殺生を避ける考えがあり、生鮮食品は不適切とされています。また、日持ちのしない生ものは衛生面への配慮から避ける傾向があります。酒類も神事で用いられるため法要のお返しには相応しくないとされています。
さらに昆布やかつお節は結婚式の引き出物で使われることが多いため、慶事を連想させる品物として避けた方がいいでしょう。これらの品物は「喜びの場」を想起させることから故人を偲ぶ法要の場には不適切とされています。
置物などの形に残るものもタブーとされています。これは「不幸が残る」という意味合いを避けるためです。法要のお返しには「消え物」と呼ばれるタオルや食品、洗剤など、使用することでなくなる品物が好まれます。
現代においては派手すぎる包装や華やかなパッケージの品物も避けるべきです。金色や赤色などの慶事を連想させるような派手すぎる色は避け、落ち着いた色合いのものを選びましょう。
また、個人の趣味嗜好が強く反映される品物も避けましょう。香水、化粧品、アクセサリーなどは宗教的な観点からも適切ではありません。受け取る方の価値観や宗教観に配慮し、誰にでも受け入れられる品物を選ぶことが大切です。
価格面でも注意が必要です。あまりに高額な品物は相手に負担感を与えてしまう可能性があります。参列者の御供物料の金額の3分の1~半額程度の商品を準備しておけば適切とされています。
初盆のお返しはいつするの?
初盆のお返しのタイミングは状況によって異なるため、適切な時期を理解しておくことが重要です。参列者への配慮と感謝の気持ちを適切に表現するために詳しく解説します。
まず、当日参列された方へのお返しについてです。事前にお返しを用意し参列者に持ち帰ってもらう場合、参列者全員が会食の最後までいるとは限らないため帰り際にすぐ渡せるように段取りしておくことが重要です。法要終了後、会食の前後に関わらず、お帰りの際にお渡しするのが一般的なマナーです。
一方、遠方から香典を郵送でいただいた方や当日参列できなかった方へのお返しは、お盆が明けてから月末までに送るのが望ましいとされています。これは初盆期間中は遺族が忙しく、また故人を偲ぶ時間を大切にするという配慮からです。
郵送でお返しを送る場合は必ずお礼状を添えることが大切です。感謝の気持ちを込めた丁寧な挨拶状で故人への想いと共にお礼を伝えましょう。お礼状には初盆法要が無事に済んだことの報告と、お忙しい中でのご配慮への感謝を記載します。
また初盆後にお供えをいただいた場合も、お返しの用意は御供物料の半額を目安にして準備する必要があります。このような場合は、いただいてから1週間以内を目安にお返しの品と共にお礼状を送ることが望ましいとされています。
地域によってお盆の時期が異なることも考慮に入れる必要があります。旧暦に従って8月に行う地域と、新暦に従って7月に行う地域があるため、それぞれの地域の慣習に合わせたタイミングでお返しを準備することが大切です。
初盆のお返しで人気のお菓子は?
初盆のお返しで人気の品物は日持ちがよく、どなたにも喜ばれる上品で実用的なものが選ばれています。お返しの品物として好ましいのは消耗品(消え物)で、海苔、そうめん、お茶、洗剤、石鹸、調味料、お菓子などがよく選ばれるとされています。ここでは初盆のお返しで人気のあるお菓子を紹介します。
和菓子の分野では個包装されたどら焼きやカステラが特に人気です。これらは常温保存が可能で分けやすく、年齢を問わず親しまれています。老舗の和菓子店が手がける品質の高い商品は上品で特別感があるため、初盆のお返しとして非常に適しています。
落雁や最中などの伝統的な和菓子も法要のお返しとしては定番の選択肢です。これらは日本の伝統文化を重んじる方々に特に喜ばれ、故人への敬意を表現する意味でも適切です。
洋菓子ではクッキーやマドレーヌなどの焼き菓子セットが人気を集めています。これらは保存性が高く個包装されているため衛生的で、様々な年代の方に受け入れられます。バウムクーヘンもその形状から「年輪のように長く続く」という意味合いで選ばれることがあります。
食べ物を選ぶのであれば、なるべく日持ちするものが良いとされているため、生菓子や要冷蔵のお菓子は避け、常温で保存できる商品を選ぶことが重要です。また、洋菓子(卵・乳製品使用)や和菓子(ナッツ類)など、アレルギーの可能性がある原材料にも注意しましょう。
最近では、おしゃれなパッケージのお菓子も人気ですが、派手すぎないデザインを選ぶことがポイントです。シンプルで上品な包装のものが初盆の厳粛な雰囲気に適しています。
セット商品も人気で、異なる種類のお菓子を詰め合わせたものは受け取る方の好みに合わせて選べるため喜ばれます。ただし、価格帯は適切に設定し相手に負担を感じさせない範囲で選ぶことが大切です。
お返しに商品券はアリ?
初盆のお返しに商品券を選ぶかどうかは、現代的な視点と伝統的な価値観の両方を考慮する必要があります。商品券に関する考え方は地域や世代によって異なるため、慎重に判断することが重要です。
商品券の最大のメリットは、受け取る方が自分の好みに合わせて品物を選べる点です。特に遠方の方や、好みが分からない方へのお返しとしては実用的な選択肢となります。また、かさばらないため参列者の負担も軽減できます。さらに、食べ物のアレルギーや健康上の理由で制限がある方にも配慮できる点は大きなメリットです。
一方で、商品券には「味気ない」「心がこもっていない」と感じる方もいらっしゃいます。特に年配の方や、伝統を重んじる方の中には商品券よりも具体的な品物を好む傾向があります。故人への思いを込めて選んだ品物の方が感謝の気持ちが伝わりやすいと考える方も少なくありません。
現代ではカタログギフトという選択肢も人気を集めており、法事のお返しに向いていると重宝されて、いまや定番の贈り物となっています。カタログギフトは商品券と似た機能を持ちながら、より丁寧な印象を与えることができます。カタログの表紙やデザインも法事用に配慮されたものが多く、商品券よりも適切な印象を与えます。
予算に合わせて贈るカタログを決めればいいので細かい法事のお返しのルールを気にする必要がありません。また「お返しにタブーとされる品物を贈ってしまうかも、失礼があるかも」という心配はカタログギフトで解消できます。受け取る方が自分で選択できるため、タブーとされる品物を贈ってしまうリスクを避けることができます。
商品券を選ぶ場合は、全国どこでも使える大手デパートや通販サイトのものを選ぶことが重要です。地域限定のものや使用期限が短いものは避けましょう。また、商品券の種類によっては使用できる店舗が限られる場合もあるため、幅広い用途に使えるものを選ぶことが大切です。
商品券やカタログギフトを選ぶ際は包装にも注意が必要です。派手すぎない、落ち着いた色合いの包装紙を選び、初盆の厳粛な雰囲気に配慮することが重要です。
最終的には地域の慣習や参列者の年齢層、関係性を考慮して判断することが大切です。不安な場合は地元の葬儀社や年配の親族に相談することをお勧めします。また、商品券とカタログギフトの両方を用意し、相手に応じて使い分けるという方法も考えられます。
初盆のお返しは故人への想いを込めて相手に感謝の気持ちを伝える大切な機会です。タブーを避け、適切な時期に心のこもった品物を選ぶことで、故人を偲ぶ気持ちを共有し、参列者との絆を深めることができるでしょう。
のしの書き方
初盆のお返しにおいて、のしの正しい書き方を知ることは故人への敬意と参列者への感謝を適切に表現するために欠かせません。
お返しの品には「志」と書かれたかけ紙を使うことが一般的です。地域によっては「粗供養」「新盆(初盆)志」などと記載することもあります。
のしの書き方は、まず上段に表書きを記入します。「志」が最も一般的で全国的に使用されています。関西地方では「粗供養」という表記も多く見られ、より丁寧な印象を与えます。「初盆志」や「新盆志」といった表記も適切で、特に初盆であることを明確にしたい場合に使用されます。
下段には施主の名前を記入しますが、お名前は施主様のフルネームか「〇〇家」などを入れます。個人名を入れる場合は喪主または法要の代表者の氏名をフルネームで記入します。家族全体を表す場合は「〇〇家」という表記が適切です。
水引の色についても地域差があり、水引は黒と白の結び切りが一般的ですが一部関西などの地域によっては黄色と白が多く選ばれたりもします。関東地方では黒白の水引が主流で関西地方では黄白結び切りの水引が多く使われています。
のしの書き方で気をつけたいポイントは毛筆または筆ペンを使用することです。ボールペンやサインペンは避け、薄墨ではなく濃い墨で書くことが重要です。文字は楷書体で丁寧に書き、バランスよく配置しましょう。
商品券やお菓子などの返礼品を選ぶ際にも、のしの書き方は統一して行います。複数の品物を用意する場合でも、すべて同じ表書きと名入れで統一することで整った印象を与えることができます。
挨拶状は必要?
初盆のお返しに挨拶状を添えるかどうかは多くの方が迷うポイントですが、初盆のお返しには挨拶状やお礼状を添えるのがマナーです。挨拶状は必須ではありませんが、故人への弔意と参列への感謝を示すために添えることが推奨されます。
挨拶状には二つの種類があります。挨拶状は品物をいただいたお礼として書きます。一方でお礼状は初盆を無事に終えたことを報告する文書です。お礼状は法要が滞りなく終了したことを報告し、参列者への感謝を表現する文書として重要な役割を果たします。
挨拶状の書き方には特別なルールがあります。手書きと印刷、どちらで作成しても問題ありませんが、いずれの場合も縦書きにします。葬儀の挨拶状やお礼状では「法要が滞りなく進んだ」ことを示すために文章を区切る句読点は使用しません。手紙には故人の名前を必ず記載して、差出人の氏名も忘れずに書きましょう。
季節の挨拶は含めず、故人の名前から始めて法要の報告、感謝の言葉、今後のお付き合いのお願いという流れで構成します。文章は簡潔に、故人への思いと参列者への感謝の気持ちを素直に表現することが大切です。
人気の挨拶状スタイルとして、シンプルな文面のものとイラスト入りのものがあります。故人の人柄や家族の好みに応じて選ぶことができますが、おしゃれさよりも心のこもった内容を重視することが重要です。
送るタイミングについては法要当日に持参する場合と、後日郵送する場合があります。法要に参列いただいた方には当日お渡しし、郵送でお供えをいただいた方には後日お礼状を添えて返礼品を送ることが一般的です。
地域ごとの初盆
初盆の風習は地域によって大きく異なり、お返しのマナーも地域性を理解することが重要です。関東と関西、さらに各地方特有の習慣があり、それぞれの地域に合わせた対応が求められます。
関東地方では、のし紙の水引の色は関東なら黒白、関西なら黄白が多く、結び目は「結び切り」が基本ですが、地域によって異なる場合があります。黒白の水引が主流で、表書きは「志」が最も一般的です。お返しの品物も、素麺やお茶などの夏らしい食品や、洗剤やタオルなどの日用品が好まれます。
関西地方では黄白の水引が多く使われ、表書きも「粗供養」という表記が頻繁に見られます。
名古屋では御仏前よりも「御供」が多い傾向にあります。静岡県では、行政区や旧盆の慣習により、浜松市周辺など一部地域で7月盆(新暦採用)、その他の地域で8月盆(旧暦準拠)が混在します。このように、同じ中部地方でも地域によって細かな違いがあります。
九州地方では初盆の期間や法要の進め方に独特の習慣があります。沖縄県では旧暦でお盆を行うため、本土とは時期が異なります。また、お返しの品物についても地域の特産品を含めることが多く、その土地らしさを大切にする傾向があります。
東北地方では、盆棚の飾り方や供え物に地域色が強く、お返しについても地域の慣習を重視します。特に農業地帯では、お米やお酒を含めた返礼品が人気で、地域の結びつきを大切にする文化が反映されています。
お菓子を選ぶ際も地域差があり、関東では和菓子、関西では洋菓子も含めた幅広い選択肢が受け入れられる傾向があります。商品券についても、地域の商店街で使用できるものが喜ばれる場合があります。
初盆をいつする?というタイミングも地域によって異なり、お盆期間中に来て頂いた方へのお返しは事前に用意し、初盆・新盆・お盆期間中に送って頂いた「お供え」「香典」などのお返しは、金額の「半返し」を目安に、お盆後から8月末までに発送します。
北海道や東北、静岡の一部では、お盆の期間が他の地域と異なることがあり、それに合わせてお返しの時期も調整する必要があります。地域の風習を理解し、それに合わせた対応をすることで、より心のこもった返礼ができます。
よくある質問
初盆のお返しについて、多くの方が抱く疑問と解決策をまとめました。これらの質問と答えを理解することで、安心して初盆を迎えることができます。
Q.初盆のお返しは必要ですか?
A.初盆にいただいた御仏前やお供え物に対して、お返しが不要といわれている理由は2つあります。ひとつは、故人のために送った御仏前やお供え物なので、お返しの必要がないという考え方です。もうひとつは、法要後に参列者を会食などで、おもてなしする行為をお返しと捉える考え方です。しかし、初盆で御仏前やお供え物をいただいた場合、お返しとして品物を用意するケースが2つあります。ひとつは、会食など食事を振る舞えない場合です。もうひとつは、親族や知人が遠方におり、郵送で御仏前やお供え物をいただいたケースです。
Q.お返しの金額の相場は?
A.初盆のお返しの予算は、いただいた金額の3分の1~半額程度が一般的です。この金額を目安に、適切な品物を選びます。高すぎても安すぎても失礼になるため、相場を守ることが大切です。
Q.どのような品物が適切ですか?
A.洗剤・タオルなどの日用品や、お菓子・調味料・お茶などの食品・消耗品が適しています。当店では、夏らしい素麺や、もらって嬉しい醤油と調味オイルのセット、うどん・海苔などの乾物もよく選ばれています。消耗品であることが重要で、後に残らないものを選ぶことがマナーです。
Q.商品券は適切ですか?
A.商品券は実用的で人気がありますが、地域や相手との関係性によって判断が分かれます。目上の方には避けた方が無難ですが、同世代や若い方には喜ばれることも多いです。
Q.初盆のお返しはいつする?適切な渡し方は?
A.法要当日に参列いただいた方には、お帰りの際にお渡しします。郵送でお供えをいただいた方には、お盆後から8月末までに返礼品を送ることが一般的です。
Q.おしゃれな包装は必要ですか?
A.見た目の美しさよりも心のこもった選び方と適切なマナーが重要です。シンプルで品のある包装を心がけ、のしや挨拶状で気持ちを表現しましょう。
Q.初盆のお返しにタブーはありますか?
A.アルコール類、肉類、生もの、高額すぎる品物、個人の趣味に偏った品物は避けましょう。また、現金での返礼も基本的にはタブーとされています。
これらの質問への理解を深めることで、初盆のお返しを適切に行い、故人への敬意と参列者への感謝を正しく表現することができます。
初盆のお返しで失敗しないために
初盆のお返しは、故人を偲び、参列者や贈り物をいただいた方々への感謝を伝える大切な行いです。しかしながら地域ごとの風習やマナー、避けるべきタブーが多く、不安に感じる方も少なくありません。失敗しないためのポイントは、大きく分けて3つあります。
1つ目は「事前の準備」です。誰に・何を・いつ贈るかを早めに整理し、法要当日や郵送対応に備えておくことで慌てることなく丁寧に対応できます。
2つ目は「地域性や宗教観の確認」。水引の色やのしの表書き、お返しの内容まで地域や宗派によって異なるため、年配の親族や地元の葬儀社に相談しておくと安心です。
3つ目は「贈る相手への配慮」。派手すぎない包装、消え物中心の品選び、丁寧な挨拶状を添えることで感謝の気持ちをしっかり伝えることができます。
また、カタログギフトや商品券をうまく活用することで、贈る側・受け取る側の双方にとって負担の少ないスマートな選択も可能です。
初盆は、悲しみの中にも「つながり」や「感謝」を感じられる大切な節目。マナーや習慣を丁寧に押さえることで、失礼のない、心のこもったお返しを届けることができます。わからないことがあれば遠慮なく専門家に相談しながら、無理のない範囲で誠意を表現していきましょう。
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